2016年3月5日(土)

稽古時間は10時から17時。
午前中は演技パート、台本22ページ(#6)から32ページ(#8)までのブラッシュアップでした。
#6は奔放と癇癪の出会いのシーン。
このシーンの練習中、平穏役じゅりさんがアドバイスされた言葉がとても素敵だったのでここに書き留めておきます。
『煙草を吸う所作も台詞である。』
『身体を使うことはすべて台詞である。』
一語一句合っているわけではないですが、このようなことでした。
つまり、台本に書いてある活字の言葉を声に出して音にすることは表現のほんの一部でしかなくて、
身体・五感のすべてで台詞を、行間を表現できるんですね。
素敵。そうですよね。そうなんですよ。

#7は、私飴玉も登場します。
ひょんなことで哲学役のウッチーとぶつかるんです。
今まで、怪我防止のため物理的に身体と身体をぶつけていなかったのですが、今日はうまくぶつかる練習をしました。
身体の使い方って本当に大切。
お芝居だから、本当に(ガチで、という意味で)ぶつかる必要はない。
でもそう見えるように、かつ怪我をしないように、でもお芝居のテイスト的にギャグになりすぎないように。
これもひとつの“殺陣”です。
力の入れ具合、抜き具合、自分の身体を思うように使いこなせることが役者の仕事のひとつ。
いろんなパターンをみんなで研究しました。
日常にひそむ「あるある」を追求する作業です。
面白いんですよね、これが。どういう風になるんでしょう。
お楽しみに。

午後は入手さんによる振付の時間でした。
まずは1時間ほどストレッチを。
いろんな解説・豆知識とともに、自分の身体と対話し、自分を見つめていきます。
ここでひとつ耳寄り情報、Byあんなさん。

足の裏、土踏まずの下、かかとの方をこぶしでポンポンと叩くと、自律神経を整えてくれるそう。
冷え症や、のぼせ、だるさ、不眠などなど。
そのあと気になって調べてみたのですが、地面を裸足で踏ん張って歩く国の人たちは、
自律神経失調症になる人が極端に少ないそうなのです。
足の裏が安定しているおかげなんだとか。
ハイヒールを履く女性が、自律神経を乱しやすいのも納得です。
気軽にできるので、ぜひみなさんも足の裏ポンポンしてみてくださいね。

そして本日メインの、振付の時間がやってきました。
前回の振付の日、私は欠席していたので、はじめてあんなさんの振付を受けられます。
ホワイトボードにさらさらと何かを書くあんなさん。

一同「ぽかーん」
あんなさん「この言葉で思いつく動きを順番にやってみて♪」

ひとりずつ、戸惑いながら、悩みながら、思い思いに動きます。
後の方になると、前の人とかぶった動きはできないのでネタに困ります。
でもあんなさんの手拍子が始まると、追い詰められ、やらざるを得ません。(笑)
「え、これはいくらなんでも…」という動きでも、
あんなさんがやると何でもカッコよくなり、ブラッシュアップして戻してくれるのです。
その作業を何度か、何周か繰り返していくたび、
これはそれぞれ別の振りなのではと勘のいい人が気づき、それぞれの役に合った動きを織り交ぜていきます。
私はというと、少し出遅れ、飴玉色のあまりない出だしになってしまいました。(笑)
全員でやると面白いんですよ。すごく。

曲もかっこよく、素敵なので、ぜひ楽しみにしていてください。
言葉にはしない私たちの思いを、ダンスでお届けいたします。

さあ、あと1ヶ月で小屋入りです。



2016年2月13日(土)

今日の範囲は♯18(台本p.74)から♯21の回想前(台本p.92)まででした。
大学1年生だった私たちも、今日は4年へと成長。
仲良くつないだ手をいつの間にか離していたり、
それぞれの歩く歩幅の違いに寂しさを感じたりと、なんだか切ないシーンの連続です。

私飴玉の稽古は♯20の奔放とのシーン。
旧体の解体反対運動にいそしむ奔放と、就活を終え久々に学校に来た飴玉。
旧体育館のことを広く伝えたい奔放の熱さと、その歴史を何も知らない飴玉との温度差をお楽しみいただきたいシーンです。
難しい言葉や真剣なシーンの間の、コーヒーブレイク的なシーンにもなっております。
奔放と飴玉、登場人物の中では、派手よりな、遊び好きな、大学にそこまで真剣でない二人。
下手から二人で歩いてくるのですが、この二人だからか何なのか、 その様子が何とも“漫才”っぽくなってしまうのです。
漫才を期待していただいている方には申し訳ありませんが、稽古を重ねる中で、だんだんと漫才感はなくなりました。(多分)
1年生のときにはふわふわしていた飴玉ですが、大学の外での活動や就活などをそれなりにがんばり、
社会に揉まれたおかげなのか、奔放のことを心配するなど少ししっかりしてきました。
脚本の中では描かれていない彼女の成長を、私なりに表現したいなと思います。

この脚本の難しいところのひとつが、1シーンで別空間の芝居が入ることだと思います。
それがあるところでは掛け合いになっていたり、同時期の話だったりするのですが、
♯21ではついに3空間の芝居が生まれることになりました。
舞台の上に3組6人が立ち、別々の空気感を作る。
ごちゃごちゃしないか、メインの芝居を邪魔しないかなど、何度も試行錯誤をして作られていきます。
映像を撮っていただき、お客さんがストーリーに集中できるように、そして演技の行動線も矛盾しないか、確認しながら作られました。

さて今日は新しい言葉が生まれました。
『さす顔(さすがお)』です。
お姉さん3人(○○役しほちゃん、平穏役じゅりさん、敬虔役ようちゃん)(冨樫監督は“3ババ”と呼んでいます)が、
出はけの仕方や台詞の解釈の仕方など、こうしたらいいんじゃないかと提案したときに、冨樫監督がする顔のことです。
5秒くらい無言でにやけた後に、必ず「さすがだよね~」と言うのがお決まりになってきたので、
そのにやけた、何とも言えない顔のことを『さす顔』と名付けました。
誰かがいい提案をした後、冨樫監督の顔を見て「はい、さす顔出ました」というのが次のお決まりになりそうです。
ちなみに私はまだ『さす顔』をいただいておりません。

それにしても、こんなふうに監督をいじりながら楽しい空気で稽古をやらせていただける現場は、そうないと思います。
みんなで意見を出し合って舞台を作っていく。
これから30回弱の稽古を重ねて、どんなステージへと変化するのでしょうか。楽しみです。